2011年3月30日水曜日 0 コメント

選択



ショートブレッドとかガレットとかいう呼び方をするらしい、厚めの焼き菓子が好物だ。
ふたつを手に取り、どっちにしようかなと考えるふりをしてどっちもレジに持っていくのだ。

大人買いという行為は、実はとても大人気のない行為なんだなと思った。

いい大人なのに、どちらかを選びきれない。
そんなことはままあるどころか、ほとんどがそうである。
まさに今もそうである。
2011年3月17日木曜日 0 コメント

続・享受する資格



未曾有の大災害、その翌日。


前日、この窓の背後の床は落下物で足の踏み場がなくなり
目の前の線路には数日間電車が通ることはなかった。


しかし、切り取られた風景は10日前と何ら変わることはない。

駅前の高層マンションも、高架化された線路も、林立する電信柱も、築40年超のこの団地も、いまだ揺れ続ける大地の上に、ひとまずは崩れることなく、流されることも燃え落ちることもなく、たっている。


変わらぬ風景、変わらぬ生活を享受する資格はきっと、誰もが持っている。
世の中の、ひとり残らず誰も彼もが。

我知らず手の中にあったはずのそれを不意に取り上げられて、断片だけでも掴もうと千切れそうに手を伸ばす人がいる。

我知らず手にしていたものの存在を、その重さを俄かに突きつけられ戸惑うことはあっても、不安という集団心理に流されて、自らそれを手放そうなどとは、決して考えるまい。
2011年3月1日火曜日 0 コメント

享受する資格



天気雨が降った日。

我が家の窓から見た練馬区石神井の風景はまだまだ空が広く、都心ではあまり見かけなくなった電信柱が総立ち。張り巡らされた電線が、どこかからどこかまで何かを運んでいる。

片側だけ高架になった線路には銀河鉄道999仕様の電車が走り、どこかから池袋までのどこかまで誰かを運んでいる。

何気ない風景が何気なく目に映る幸福は、いくらシャッターを切ってもそこに留まってはくれないのだ。
 
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