2011年3月17日木曜日

続・享受する資格



未曾有の大災害、その翌日。


前日、この窓の背後の床は落下物で足の踏み場がなくなり
目の前の線路には数日間電車が通ることはなかった。


しかし、切り取られた風景は10日前と何ら変わることはない。

駅前の高層マンションも、高架化された線路も、林立する電信柱も、築40年超のこの団地も、いまだ揺れ続ける大地の上に、ひとまずは崩れることなく、流されることも燃え落ちることもなく、たっている。


変わらぬ風景、変わらぬ生活を享受する資格はきっと、誰もが持っている。
世の中の、ひとり残らず誰も彼もが。

我知らず手の中にあったはずのそれを不意に取り上げられて、断片だけでも掴もうと千切れそうに手を伸ばす人がいる。

我知らず手にしていたものの存在を、その重さを俄かに突きつけられ戸惑うことはあっても、不安という集団心理に流されて、自らそれを手放そうなどとは、決して考えるまい。

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