芝居を観てきた。
パラドックス定数の代表作とされる「東京裁判」。今回が再々演とのこと。
東京裁判の顛末について、私の知るところは本当に少ない。
加えて、いまだ公演中ということもあるので、内容について多くのことは語れない。
史上最悪の出来レース、などと呼ばれていたり、二度目の敗戦、などという人もいたり。
この裁判の結果は程度の差こそあれ、誰もが知っている。
史実を扱う作品は当然ながら、その誰もが知る結果を誰もが知っていると知った上でスタートさせるわけだけど、そこにかかるはずの大きなリスクを見事に味方に変えた、すばらしい作品だった。
私の感想ごとき、たいしたネタばれにもなるまいからひとつだけ書いてしまう。
感じたのは、「恥」の概念だった。
舞台上にいる弁護団の5人の、そして舞台上には登場しない28名のA級戦犯と言われた人物たちの心を占める、日本人特有の恥の概念。
たとえ勝負に勝ったとしても、世界中の人に許されたとしても、それぞれの中にある「恥」が消えるわけではないし、「恥を知る」ことを捨てられない。
厚顔無恥な現代の日本人(38歳パート主婦)としては、その姿にじりじりと焦れながら、じゃあ誇りってなんだろうと考える。
舞台のエンディングは、その答えを教えてくれたように思う。
決してハッピーエンドとは言えないけれど、不思議なすがすがしさがあった。
もう一度観たいがかなわないので、上演台本を購入。
我が家にあるパラドックス定数の台本は、これが2冊目(1冊目は夫が購入)である。
日曜日まで、やってるそうですよ。